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「いや遅くはない」 (『生きる』黒澤明監督:1952年)

東宝
生きる
 
 
 
 
 初老を迎えた無気力な役人が胃がんになる。余命半年。人生を振り返ってみても、「生きてきた」という実感がもてない。そんな自暴自棄になっている時に、若く溌剌とした女性の圧倒的なエネルギーに触れる。死ぬまでに一日でもいいから彼女のように生きたいと願う。その活力の源を知りたくて、しつこく後をつける(いまでいうストーカー状態)。そして彼女にその秘訣を尋ねる。



男:「わしは何かすることが、いや何かしたい ところが ところがそ・・・それが分からない」と言って、君はなんでそんなに・・・・、と尋ねる。

女:答える 


でも、役所ではなかなか実行できそうにない。どうしたらいいんだろう?と悩む。とにかく「生きたい」

そしてふと、思い立つ。


男:「いや遅くはない いや無理じゃない あすこでも やればれきる ただやる気になれば・・・」


そして男は生きはじめる。つまり生まれる。その日が誕生日になる。

最高にぞくぞくするシーンです。演出も最高!!


「映画が好きだけれど、昔の白黒映画はちょっと・・・」っていう人、そのバイアスを消し去ってください。ほんとうにびっくりするくらい面白いです。僕は(映画愛好家ではないので)昔の映画なんて研究趣味がないと楽しめないと思っていたんです。「19△△年代はこういう映像技術で映画を撮っていました」というような歴史的な価値のようなものを追求するために観るんだと思っていた。


でも、全然違った。ぐいぐい引き込まれる。それも嘘みたいに。リラックスして見ると、映画の世界に誘導される感じがする。映画を見終えると、印象的なシーンがいくつも浮かび上がってくる。わざわざ意識して記憶していなくても。雰囲気があるんですよね、きっと。



やっぱり本物は違うんだなぁ。いくら時代が進んでも、真似できないものってあるんだと思う。今の画家がダ・ヴィンチの『モナリザ』を書けないのと同じように・・・


★★★★★★★★★☆ 9点(限りなく満点に近い9点)

映画 『生きる』 黒澤明監督(東宝:1952年)より

『SAYURI』の「さゆり」はチャン・ツィイー

『SAYURI』("Memories of a Geisha")が冬に映画になるという。映画化の話がもちあがっていったいどれくらい経つんだろう?? やっとのことで公開決定!!

スピルバーグ製作のロブ・マーシャル監督と申し分ない組み合わせかな?きっと素晴らしく美しい作品になるはず・・・。


とはいうものの、日本の文化を映像化するのがまたまた外国人監督っていうのもちょっと淋しい。『ラストサムライ』の時もひそかに思って いたんだけれど、あのくらいの作品は日本人が日本映画として作れ!! (故)黒澤明が悲しむぞぉ。


しかも、主演がなんとチャン・ツィイーらしい。「さゆり=中国人??」 まあアメリカ人なら見分けがつかないし、まあいいか?


とはいうものの、日本人の俳優(女優)はいったい何をしているんだ!! 『ラストサムライ』の小雪はやっぱりダメだったってこと? その前に他に日本美人的な日本人女優がいないってこと? チャン・ツィイーとコン・リーだったらアメリカでも知名度があるしってことかな?


日本人もそろそろ「アイドル嗜好」を卒業しないと。「かわいいだけじゃダメだ」って高らかに言っていかないとね。歌手も女優も外装ばっかりに目を向けるんじゃなくて、「内なる美」に目を向ける国民になっていかないとね。そこがもともとの日本の強みだったんだから・・・・。ティファニーの箱の中にガラス玉しか入ってなかったら空しいです。


ところで、なんで、さゆり役が宮沢りえとかだとダメなんだろう・・・ やっぱり興行的な問題??

映画 『LOVERS』(チャン・イーモウ監督 2004年 中・米)

 中国人ってあんなものを作れるんですね。あんなに綺麗な景色を表現できる監督がいて、あんなに激しいアクションの演技ができる美しい女優さんがいて。『初恋の来た道』(チャン・イーモウ 2000年)が好きな人からすると、ちょっと不満があるかもしれないですけれども、僕はどっちもとても好きです。


 特に『LOVERS』は映像美はアメリカ映画以上だろうし、アクションシーンもハリウッドの最高レベルでつくったものだろうし、何一つ遜色ないですね。俳優にしても、アンディ・ラウもチャン・ツィイーも金城武もみんなかっこよかったです。


 中国(シナ)は二千年も三千年も歴史があるわけですから、いくらでも映画の題材があって、アメリカから見るとかなり悔しいと思います。たかだか二・三百年の歴史の国とその十倍の歴史をもった国。これからどんどん差がついていきそうな気がしました。


 ただ、中国だけの力ではあの映画は作れないっていうのがもったいないですね。やっぱりアメリカの金と力と技術と環境がなければ作れない。だからどうしてもアクションシーンが分厚くなったり、中途半端なラブシーン(セックスシーン)が必要になってくる。中国の力だけで作れるようになれば、もっと繊細で、もっと瑞々しい、芸術的で美しいものが作れると思うんですけれども。


 まあそれにしても、あれだけ東洋美を表現できるのって気持ちいいでしょうね。風景も人物も衣装も音楽もどこを切り取ってもそこに東洋を感じました。日本も韓国もどうしても「西洋の波にさらわれた後のアジア」を表現した映画が多くなってしまいますし、山田洋次監督がいくらいい時代劇をつくっても、どうしても『セカチュー』や『イマアイ』に負けてしまいますから、なんとも悔しい限りです。


 日本の俳優とハリウッドスターを並べてみるとどうしても格が合わないようなきがしませんか? 本家の西洋に、偽者の西洋でぶつかるから太刀打ちができないように見えてしまいます。でも、中国の俳優は(香港も)、西洋に対してしっかり東洋でぶつかっていくから、遜色なく比肩するように見えてきます。


 でも、つくづく中国(シナ)の大きさと深さを感じさせられた映画でした。とても面白かったです。


 ★★★★☆☆☆☆ 6点

「宇宙戦争」を楽しく観てきた

 「宇宙戦争」を観てきた。平日にもかかわらず満席だった。予想通りの内容で満足した。

 文句の付け所はいっぱいあったけれど、そんなの覚悟でいうと、「とても面白かった」


 やっぱりアメリカ映画ってああじゃないとね。ハラハラドキドキの連続で、映画に身を任せさえすれば、勝手に感情を揺さぶられる。ストーリーの不具合なんて気にするほうがもったいない。細かいことには気にせずに、映画の中にズッポリ入り込む、それがアメリカ映画の魅力だと思った。


 たぶん批判も多い映画だと思うけれど、偏見を抜きにして童心になって観れば絶対楽しめます。理屈っぽいことは一切抜きで、ただ純粋なエンターテイメントとして観たら本当に楽しめるから。知識を披瀝するのは無駄。お金の無駄遣いだよ。そんな見方はDVDで十分事足りるでしょ。


 他の人のブログとかを見ていると、なんか映画監督と戦っているような批評がよくあるけれど、映画を観る心得は映画と仲良くすること。考えながら見るんじゃなくて、ただ見る。

 批評は評論家がすればいい。僕ら観客はただ楽しむためだけに観ればいい。

 客観的に批判的に「良し悪し」を判断するのは評論家に任せよう。僕らはただ極めて主観的に「楽しいか楽しくないか」、「好きか嫌いか」を判断しよう。

 そういう姿勢で映画館に足を運ぶと、もっともっと映画を楽しめるから・・・。

 「宇宙戦争」は絶対に面白いから。偏見なく素直な目で観ればね。

☆★☆★評価について★☆★☆

僕はあまり作品に点数をつけたくないんですが、どうも僕の文章力では結局おもしろかったのかどうなのかがわからないと思い、みんなに倣って★☆をつけることにしました。でも例えば3点と4点の区別なんて僕にはつけられないので、以下の評価方法をとることにしました。(満点は10点です)


①観賞した回数

3回以上   :3点

2回      :2点

1回      :1点

挫折      :0点

     

②独断の評価

S:何度でも楽しめる:おすすめ!!(4点)  

A:まだまだ楽しめる:面白い!!(3点)  

B:もう一回くらい楽しみたいな:よくできてる!!(2点)

C:もう充分だな:まあまあかな!!(1点)

D:もういらない:何を伝えたいの??(0点)



③客観的評価(知名度なんかを参考に)

A:(3点)   有名    名作    本物

B:(2点)

C:(1点)

D:(0点)   無名    駄作    見せかけ


※ まあ言うまでもないことですが、ほとんど「評価」とは言えないです。ただ楽しめるかどうか、何度読んでも(観ても)飽きないくらいに、細部までしっかり作りこまれているかどうか、安易に感傷的な方面に流れていないか、それが主軸になっています。

 あと、小説の方が有利で、小説の中でも短編の方が若干有利かなぁと思います。

※ 短編集の評価は全作品の平均値の評価とします(特定の作品の評価は別に記載します)


僕の中では6点が一つの基準になるような気がします。

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